投資狂日記

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RIZAPは財務的なダイエットに成功するだろうか

日経新聞のRIZAPについての記事が興味深い。

RIZAPは2019年3月期の業績が赤字転落することを発表し、株価も大幅に下落している。業績が悪化した根本原因は積極的なM&A戦略で拡大してきたものの、買収企業の業績が振るわないことだ。

しかし会計的にはこれまで利益は出ている。

決算期 2014/3連 2015/3連 2016/3連 2017/3連 2018/3連 2019/3連予
売上高 23,910 39,101 53,937 95,299 136,201 230,900
営業利益 1,127 2,108 3,159 10,212 13,590 -3,300
経常利益 1,303 1,946 2,806 9,604 12,047 -4,900
当期利益 2,698 1,636 1,587 7,678 9,250 -7,000

 

損益計算書の推移を見てみると、売上高の増加とともに利益も増加している。だがここに会計的なカラクリがあることを示したのが日経新聞の記事だ。

企業買収の際に発生した「負ののれん」が利益として計上されており、それが営業利益の6割に達していたという。

粉飾というほどでもないが、その手法には危うさがある。こうした実態が表面化したのは、カルビー前会長の松本氏を経営陣に加え、監査法人が交代したこともある。

 

RIZAPの業績については、損益計算書だけを見ていると危ないという典型例だと思う。利益の推移だけを見て株を買った投資家も多いのではないだろうか。

利益が出ているように見えて、実はその質は低い。利益の質をみるには、キャッシュフロー計算書を見る必要がある。RIZAPのキャッシュフロー計算書の推移は以下のとおりだ。

決算期 2014/3連 2015/3連 2016/3連 2017/3連 2018/3連
営業活動によるCF 789 2,024 868 175 87
投資活動によるCF 363 679 -3,973 2,914 -3,495
財務活動によるCF 965 1,570 5,137 11,088 22,725

 

営業利益推移は増加しているのとは正反対に、営業活動によるキャッシュフローが段々と減ってきている。これは本業がキャッシュを生み出していないことを示している。「負ののれん」はキャッシュを伴わないから当然だ。M&Aなどで投資キャッシュフローはマイナスになっており、借入金などで資金調達していることから財務活動によるキャッシュフローがプラスとなっている。

M&Aで投資に積極的だが本業で資金を賄えず、借り入れや増資で資金調達しているといえる。

会計上は利益が出ているがキャッシュを生み出しているわけではなく、計上されている利益は質が低い。本業が十分なキャッシュを生み出していないのだから遅かれ早かれ業績不振は表に出る。

 

今後は松本氏が中心となって経営改革することになるが、その道のりは険しいかもしれない。CMのように劇的に財務的ダイエットに成功するのだろうか。