今日、日銀はETFの購入目標を年6兆円から12兆円に倍増する決定をした。
新型コロナウイルスによる経済悪化に対応するためで、世界の中央銀行が金融緩和へ動いていることに呼応したといえる。
この決定が発表された後、日経平均株価は急騰したものの、あっという間に上げ幅を縮小してしまった。以前ならこうした決定に対して株式市場は大きく反応し相場の流れを変えるものだったが、今回はどうもそうではないらしい。
もはや日銀の神通力も衰えたと言っていいのかもしれない。もしさらなる対策が必要となった時には、なすべきことがほとんどないということが見透かされているのだろうか。
日銀が保有しているETFも実質的に含み損になっている可能性が高く、それも影響しているのかもしれない。いわば壮大なナンピン買いをするわけで、もしいっそう株価が下落するようならば日銀の財務状況がさらに悪化することになる。
あとは財政政策がどうなるか。
欧州ではイタリアやスペインといった南欧で新型コロナウイルス感染が広まっているが、いずれも財政状態が悪い国だ。とくにイタリアは財政難が新型コロナウイルス対応の足かせになったのかもしれない。
日本も財政状態は悪いが、新型コロナウイルス対応ではなんとか持ちこたえている。だがもし今後経済状況がさらに悪化したら、打てる手が限られてくるかもしれない。
日銀のETF追加購入に対する株式市場の反応に、問題の根が深いことを感じさせる。