投資の世界でもAIの存在が目立ってきている。このAIを利用した投資についてどう考えるか。
今のところ主なAI投資は、ETFを中心とした国際分散投資で投資家のニーズに応じたポートフォリオを組み自動で運用していくタイプのようだ。様々な資産クラスを適切に組み合わせることを人ではなくAIにやらせるわけだからコストは安くなる。投資初心者にも向いているためこうしたタイプの投資信託が多数を占めるようになるかもしれない。ただAIがインデックス投資をより効果的にするのだろうけど、それによって劇的に儲かるというわけでもない。もともとがインデックスなのだから。
では、独自に銘柄選択するアクティブ的な運用にAIは広まるのだろうか。
私は大和証券に口座をもっているのだが、その大和証券で「人工知能による株価予測モデルを用いた銘柄情報の提供」とやらをやっている。見てみると株価予測モデルの概要が載っていて、以下の3つをポイントとしている。
(1)人工知能(AI)関連技術である機械学習の手法を用いて決算発表後、緩やかに上昇する銘柄を選定します
(2)予測にあたり分析モデルへのインプット・データとして、各銘柄の財務情報を利用します
(3)過去の決算パターンごとの発表後の値動きを学習し、上昇銘柄の予測を可能としています
どうやら決算発表後に株価が上昇するような銘柄をAIを利用して選び出しているようだ。しかも”急激に”ではなく”緩やかに”上昇する銘柄だ。結局、予測といっても過去の値動きというパターンから選び出そうとしているにすぎない。分析モデルへのインプット・データとして財務情報を利用しているというが、どういう数値を利用しているのかも明らかではない。
AIを利用しているといっても所詮この程度なのだ。現段階ではこの程度でも今後AIがもっと発展すれば将来有望な銘柄を選定できるようになるのではないか、と思うかもしれないがやはり難しいだろう。予測はできてもそれが実際にそうなるかは結局わからないのだ。
やはりAIはインデックス投資に活用されるのが大部分になるだろう。AIによるインデックス投資が広まりさらにその傾向を強めるのであれば、逆にバリュー投資のように価格と価値の乖離を見つける余地が広がる。でもAIによる個別銘柄選択はかなり胡散臭いものに違いない。