先日、保有株の一つである芝浦電子が2022年3月期第2四半期決算を発表した。売上高は前年比37.2%増、純利益は前年の3.4倍と好調な結果。さらに業績予想を上方修正し、期末一括配当を増額することも発表された。この内容を好感して株価は急騰。保有株の含み益はさらに膨らみ、株価はとうとう取得価額の2倍を超えるまでになった。
この芝浦電子株については、長い間含み損を抱えていた。2018年から買い進め当初は順調に含み益が出ていたが、その後業績の成長が鈍化して株価が低迷し始める。どん底だったのは2020年7月あたりで、含み損が40%を超えていた。当時は600株を保有していて、ポートフォリオ全体から見ても投資額が大きい銘柄だったのでパフォーマンスへの影響も大きかった。
芝浦電子はサーミスタという温度センサーを製造しており、自動車や家電など幅広い分野で使われることから業績が大きく崩れることはないと考えていたが、コロナ禍でさらに株価は下がり続けた。別の銘柄へ資金を向けることを考えつつも、すべてを売ってしまうにはもったいないとも感じていた。事業内容は魅力的だし、財務内容は良好なので盛り返してくる可能性は十分あると思っていた。結局、半分の300株を売却してポートフォリオ内の比重を下げることにした。
2021年になって業績が回復基調に戻るや否や株価が反転し、一気に含み損から含み益に転換した。株式投資で驚くのはこういう勢いが現れた時だ。驚くほどあっという間に株価が上昇していく。もし300株を売却していなかったらと考えるのは禁物だが、半分の300株を残し保有し続けたことが吉と出たことになる。
これは運の要素もある。でも保有し続けないことにはこの運に巡り合わないことも確かだ。さっさと損切りして別の銘柄に投資したらもっといい結果になっていたかもしれないし、もっと駄目になっていたかもしれない。このあたりの判断は株式投資の難しいところだ。
ある程度の含み損を許容できたことが運に巡り合えた要因なのかもしれない。私は含み損に対する耐性は強い方だと思うが、それにも限度がある。だからこそ保有株数を減らすことで耐性を維持した。含み損に耐えられるのはその企業に何かしらの魅力があるからであって、闇雲に保有し続けているわけではない。バイアンドホールドするにはその銘柄をよく知らなければならない。そして良い銘柄を選び保有し続けることで幸運に巡りあう可能性も高くなると思っている。