この歴史小説は以前に読んだ記憶があるのだが、小説自体の完結にかなり時間がかかっていたためか途中で読みかけのままであることに気付いた。たまたま歴史小説を検索していて目に留まって思い出し、もう一度最初から読んでみることにした。
楽毅は古代中国の戦国時代の人物で、あまり有名とはいえないかもしれない。だが、三国志の諸葛孔明が尊敬する人物として楽毅を挙げているほどの名将であった。
この小説は「人が見事に生きるとは、どういうことか」をテーマにしていて、小説内でも楽毅が己に問いかけている。
彼が生まれたのは中山国という小国で、彼の父はその国の宰相であった。中山国は隣国の趙に狙われるが、中山国の君主は愚昧で国家存立が危うい状態となっていて、楽毅は祖国を救済するべく奮闘することになる。
楽毅が直面した状況というのは、現在の日本にも似ているような気がする。
経済が落ち込み国力が弱まり、大国の狭間でその争いに翻弄される。それが個人の日常生活に大きな影響を及ぼし、生き方を変えざるを得なくなるかもしれない。
また、企業と個人との関係でも置き換えられる。勤務先の企業が業績悪化などで経営危機に陥ったらどうするか。無能な上司がいたらそのまま留まるか転職するのか。自分の能力を発揮するにはどうすればいいのか。
そういうことを念頭に置きながら読んでみるのも面白い。