投資狂日記

自由を追求するブログ

自治体格差

東京都が私立高校を含む全ての高校授業料を2024年度から実質無償化する方針を固めた。現行では世帯年収が910万円未満という所得制限があるが、その制限も撤廃するという。

 

私の娘はこの冬に高校受験を控えており、まさにこの政策の恩恵を受けることになる。娘の第一志望は都立高校なのだが、私立高校へ通うことになったとしても学費負担が減ることはありがたい。

 

東京都は財政規模が大きいからこういった思い切った政策ができるのだろうが、東京都に隣接する自治体やその住民は複雑な心境だろう。距離的にはそれほど離れていないにもかかわらず、自治体から受ける恩恵が全く異なるのだ。しかも住宅を購入してしまっていたらそう簡単に移動することもできない。経済格差はどこに住んでいるかのによっても広がってしまう可能性がある。

 

大阪府でも高校の授業料無償化は進んでいる。東京都では教育費のみならず、子育て世帯には東京都や区からの助成金や支援金が意外とある。こうした実態が知れ渡れば、東京や大阪への移住を考える世帯も増えるかもしれない。

 

こうしたことで大都市への一極集中を促進する懸念がある一方、地方の自治体ではふるさと納税で財政が潤っているところもある。大都市から地方へ税金が流出していく現象があるが、大都市での子育て環境充実によって人口が増えれば税収減の対抗策にもなるわけだ。

 

これからは自治体ごとに格差が明確に表れるようになるだろう。住みやすい自治体には人が集まり、そうでない自治体は過疎が進んでいく。自治体間の競争が激しくなり、人々もどこに住むかについて戦略的に考えるようになるかもしれない。人口減少も進んでおり、長年親しんだ故郷だからといって安易に住み続ければ悲惨なことにもなりかねないのだ。そう考えると、住宅ローンを組んで家を購入し、住む場所を固定してしまうことはますますリスキーに思えてくる。

 

自治体の競争といっても、その自治体の長や議会の議員を選ぶのは結局のところその住民なわけで、住民がどのような政治家を選ぶかにかかっている。そういう意味で、自治体の政治家は住民から厳しい目で見られるようになるだろう。そして住民から見限られた自治体はやがて衰退していくに違いない。