昨日、映画「PERFECT DAYS」を観た。主役の役所広司がカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した作品だ。
「PERFECT DAYS」(完璧な日々)とは何なのか。
それが気になっていた。
映画の公式ホームページにあるあらすじに
「こんなふうに生きて行けたなら」
とある。
役所広司演じる主人公の平山は公衆トイレの清掃員で古いアパートに一人で暮らしている。毎朝薄暗い時間に起き、歯を磨いて髭を剃り、支度をしてアパートを出る。そして自販機で缶コーヒーを買ってからワゴン車で仕事場へ向かう。黙々と仕事をこなし、昼食は神社の境内にあるベンチに座ってサンドウィッチを食べる。境内の樹々を見上げ、笑みを浮かべながら古いカメラで木漏れ日の写真を撮る。仕事が終わると近くの銭湯で体を洗い、行きつけの飲み屋で一杯やる。家に帰ると本を読み、やがて眠りにつく。
こんな日常が淡々と流れていく。人によってはつまらない生き方だと思うに違いない。
毎日が同じことの繰り返しだと退屈に思うものだ。だが、同じことの繰り返しだと思ってもまったく同じ日はない。なにかしら変化がある。そしてその変化をいとおしく感じ味わうことができるのも幸せにつながることを示してくれる。
一方、平山にも過酷な過去や後悔があったように感じさせる場面もある。ただ、詳しい説明はなく観客が推測するしかない。
そしてこの映画のメッセージはラストの長いシーンに集約されているのだろう。この場面で平山の顔の表情がこれまでの人生を物語っているようで、演じた役所広司が受賞したのも頷ける。
自分にとっての「完璧な日々」とは何か。何が幸せなのか。
映画を観終わったあと不思議な余韻を感じた。