人文科学の分野は軽視されつつあるように感じている。それは端的に役に立たないと思われているからだ。だから「大学の文学部は廃止してしまえ」といった意見が出てきて、就職の際にも不利になりかねないことから敬遠する人も増える。
確かに文学や歴史、哲学といったものが直接的に役に立つようには見えない。でも役に立たなそうに見えるものが実は重要な役割を持っているということはある。人文知がまさにそれに当てはまるというわけだ。
哲学や歴史といった人文知は、例えればアプリを動かすOSに相当するという。人文知が備わっていなければ適切な行動を取れないことにつながる。
最近の各国の指導者を見てみても、歴史を知らず歴史から学んでいないのではないかと感じることがある。トランプ大統領は安倍元首相との会話で「日本は昔ロシアと戦争したことがあるというのは本当か」と尋ねたという。大国のリーダーが日露戦争を知らないというのは驚きだが、ウクライナやイランなど現在の世界情勢が不安定になっているのも歴史的な背景を知らずに行動していることから生まれているのかもしれない。日本の高市首相もその言動を見ていると本当に歴史を知っているのか疑ってしまう。
ただ、歴史を知るといっても歴史クイズに詳しいような単なる物知りとは違う。知った上でそこから何を学ぶかが重要となる。
株式投資の観点からも歴史を始めとする人文知は必要だろう。私は株式投資をするには会計の知識が必要だと思っているが、実はそれだけでは足りないのだ。
現在の風潮からすれば、人文知を身につけようとするのはコスパもタイパも悪いことになるのだろう。だがAIが普及するようになれば、これまでの役立つものがAIに置き換わっていく。そうなったとき残るものは何か。役に立たないと思われていたものが浮かび上がり、その重要性に気づくことになる。そうなったとき、その役に立たないものを身につけているかいないかで雲泥の差となるかもしれない。
