以前にこんな記事を書いたことがある。
金融緩和政策の出口戦略がいかに難しいかについて、当時のダラス連邦準備銀行のリチャード・フィッシャー総裁がイーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」の歌詞にある「You can checkout any time you like, but you can never leave!(好きなときにチェックアウトできるが、決して立ち去ることは出来ない)」を引用してこう述べた。
「我々はホテルカリフォルニア的金融政策のリスクに瀕している。理論的には我々は好きな時にチェックアウトできることになっているが、実際はこの状況から抜け出すことはできないかもしれない」
当時から年月は経過したが、いまだに日銀による利上げは思ったように進んでいない。まさにチェックアウトできない状態になっている。こうしたこともあって円相場は下落し続け、ついに1ドル164円目前まで迫った。
日銀の動きが鈍いのは政府の意向も影響している。政府は「骨太の方針」において成長重視を前面に押し出し、日銀にも「適切な金融政策運営」を求めたことで財政規律への不安を招き長期金利が急騰した。慌てた政府は日銀の自主性に関して文言を修正する事態となった。
政治家は心地いい金融緩和が延々と続くことを望み、その状況を前提として財政政策が作られ、そして経済成長が実現してバラ色の未来になるという夢にずっと囚われている。本当は別の方法があるかもしれないのに、その可能性を探ろうともしない。
一度踏み入れた異次元の金融緩和の世界と拡張する財政は政治家にとって非常に心地いいのだ。低金利によって国債発行が容易になり、財政拡張によってばらまくことで有権者の歓心を引き付け自分たちの地位を強化することにつながるからだ。
だからもう抜け出せない。
いつでもチェックアウトできるのに立ち去ろうとしない。
「ホテル・カリフォルニア」の歌詞にはこんな文言もある。
she said "We are all just prisoners here, of our own device"
(彼女は言った。「私たちはみんなここの囚人よ、自らに囚われた」)