「待ちの姿勢」というと「積極的でない、消極的」「受け身の姿勢」と捉えられて否定的なニュアンスがある。だが株式投資ではこの「待ちの姿勢」が重要ではないかと思っている。
株式投資では様々な手法があるが、世間一般では「株をやる」ことは株式の売買を繰り返して利益を得ることだと思われている。近頃ではインデックス投資が普及して、かつてほどデイトレードがもてはやされることはないが、それでも短期売買は根強い人気があるといっていい。
だが、その売買を短期間で繰り返すことで儲けられる人はごくわずかだ。確かに大成功して有名になる人もいるが、その人が目立っているだけでほとんどの人は脱落していく。投資のブログでも短期売買をしている人のブログが長く継続しているのをあまり見たことがない。
本来、投資機会というのは思ったほどないものなのかもしれない。闇雲に取引すれば、一つ一つの取引の質は落ち無駄が多くなる。たまたまうまくいけば調子に乗ってしまって失敗し、うまくいかなければ取り戻そうとしてムキになり、泥沼にはまっていく。ジョージ・ソロスは「まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ。」と言ったが、思慮の浅い取引を頻繁に行っていれば生き残る可能性がどんどん減っていくのも当然だ。
バフェットは、「投資においてはストライクを3球見逃しても三振にはならない」と言った。絶好球がくるまでじっくり待てということだ。
韓非子にこういう言葉がある。
「虚なれば則ち実の情を知り、静なれば則ち動の正を知る。」
「心が虚であればその実情がわかり、心が静であればその動きを正しく知ることができる」という意味だ。
目まぐるしく動く相場に対して、自分も目まぐるしく動いていたら見えるものも見えなくなる。虚心坦懐でいることが、投資のパフォーマンスを上げることにつながる。
今日、保有している日精エー・エス・ビーの株価が急騰した。どうやら国内大手証券会社がレーティングを格上げしたことが影響しているらしい。こうした材料が出ると取引が活発になるが、「待ちの姿勢」でいるとただ眺めているだけでいい。ずっと保有しているだけでこういう機会に遭遇できるのだ。
企業自体は先週から何かが変わっているわけではない。だから株式を手放す理由もない。ただ外部の評価が変わっただけだ。
実が成るまでひたすら待つこと。この「待ちの姿勢」は決して消極的なものではなく、むしろ能動的に待つことといっていい。