消費税を減税するか否か議論が続いている。選挙の公約だったのだから実施する方向で動いているのだろうが、物価対策として効果があるのか疑問の声も多い。
そもそも消費税減税を云々する前に、国民有権者は消費税の仕組みをどれくらい理解しているのだろう。おそらく大多数は商品やサービスに税が上乗せされているぐらいの認識しかないのではないか。実際の納付手続きは事業者が行うため、それ以外の人々は消費税がどういう仕組みで納付額を計算するかなんて知ることもない。
私はかつて経理の仕事をしていたので税制については最低限の仕組みは知っているつもりだ。でも税制を学んでいて思ったのは、なぜ税制はこんなに複雑なのかということだ。消費税のみならず所得税や法人税などあらゆる税が複雑になっている。
それは単純にいえば、納税させる側にとって都合がいいからだ。複雑にすることで多くの人は理解が困難だが、代わりに税の専門家にまかせるように仕向けるのだ。そうすれば税の専門家が職業として成り立つし、一般の人々は他人まかせになることで税への関心を失っていく。人々が税への関心をなくすことは徴税側にとって都合がいい。
消費税の食品などの軽減税率が導入されたのも表向きは消費者負担の軽減だ。だが一方でこれはインボイス制度導入の巧妙な伏線だったと思っている。税率を軽減させるエサを蒔き、インボイス制度導入によって消費税の免税事業者を課税事業者へと変換させ消費税の納税額をトータルで増加させるという実利を釣り上げたわけだ。おかげで税率が複数になり納税側の事務負担が増え、かつ納税をしなくてはならない人が増えた。まさに徴税側の狙い通りだ。
このように税制はどんどん複雑になっていく。税法の条文を読んでみればいい。その複雑さがわかるだろう。
今議論されている消費税減税が実現したら、おそらくさらに複雑になるに違いない。そして徴税側にとって都合のいい仕組みがいつの間にか組み込まれることになるかもしれない。財務省が嫌われているのは、多くの人が訳の分からぬうちに搾り取られていると感じているからなのかもしれない。
本来、税制は簡潔であるべきだ。誰もが理解できて計算できるのが望ましい。だが現実は逆の方向へ進んでいる。