高市首相が演説会で「円安で外為特会の運用がホクホクだ」など円安容認ともとれる発言をしたことが波紋を呼んでいる。その後の円売りの動きが強まったことに焦ったのか、釈明のコメントを出している。
高市首相は「為替変動にも強い経済構造を作りたい」という意図を強調しているが、演説会で言い放った言葉が自身の本音なのではないか。すなわち円安のほうがメリットが大きいと考えているということだ。
そもそもなぜ円安が進行しているのかについて高市首相はどう考えているのだろう。もし、ただ単に投機的な動きによって為替変動が大きくなっているだけといった認識だとしたらマーケット関係者が不安になるのも当然ではないか。
この円安を利用して国内に工場や研究開発拠点をつくりまくったところで人手不足なのでどうにもならないし、エネルギー価格は高いままになる。
円安傾向が続いているのは、日本の経済力自体が衰退していることに加え、政府の財政状態が長期的に悪化傾向なことが背景にある。円を実質実効為替レートでみると1970年代前半と同レベルの購買力しかない。経済力が弱体化し政府の財政が悪化していることで円という通貨が本質的に弱くなっているにもかかわらず、積極財政を叫び円安メリットで「ホクホク」などと能天気に発言してしまうことに危うさを感じてしまう。
米当局による為替介入の前段階とされるレートチェックで円高に振れた効果も半減した。円安進行を警戒していた片山財務相は内心どう思っているのだろう。
おそらく高市首相の通貨観は変わらない。むしろこうした通貨観だからこそ積極財政を唱え続けるのだろう。