日経新聞電子版で興味深い記事があった。
『OpenAI、NVIDIAと200兆円「循環投資」 ITバブル型錬金術に危うさ』
という記事だ。
オープンAIはAI分野で最も注目を浴びている企業といっていい。そのオープンAIが約200兆円のインフラ投資でいびつな取引を繰り返しているという。
オープンAIは最大手のエヌビディアから最大1000億ドル(約15兆円)の投資を受け、その調達資金をAI半導体の購入に充てる。だがそれがエヌビディアからの購入ならばエヌビディアの売上として資金が戻ってくることになる。
このような顧客に対して自社製品の購入資金を提供する手法は「ベンダーファイナンス」と呼ばれるらしい。売り手と買い手で資金が循環する手法であり、ITバブル時代にも似たような形があり、実態からかけ離れて過剰投資となった。
この記事を読んで思い出されるのが日本企業のオルツの不正会計事件だ。オルツも循環取引によって架空の実績を装っていたわけだが、その経営者のひとりは「他の同業他社も多かれ少なかれ同じようなことをしている」と述べていたという。それはこのベンダーファイナンスを意味していて、それを実践していたのかもしれない。
もしそうならオルツ事件の規模などかわいいもので、もっと巨大な規模で行われているとすればかなり危険な臭いがしてくる。
こうした錬金術は勢いがあるうちは成り立つように見えるが、どこかに綻びが生じると一気に共倒れになるおそれがある。
ちょっと冷静に観察したほうがいい。ブームには安易に乗っかってはいけない。
そういえばあのバフェットはAIにあまり関心がないように見えるが、もしかしたらこうした危うさに薄々気づいているのかもしれない。