先日、財務省が30年物国債の入札を行ったが、無難な結果になったようだ。自民党の新総裁に高市氏が選ばれたことで財政拡張が意識され、入札結果に警戒感が高まっていたので注目していた。足元の金利上昇を反映して表面金利も上昇し、それが投資家にとって妙味となり需要が集まったようだ。
世間では財務省は悪玉の権化のように思われている。だがその財務省が国債を安定消化させるために汗をかいていることを多くの人は知らない。今回も無難に終わったためニュースにもならない。地味だが重要な仕事というのは世間から評価されないものらしい。別に財務省の肩を持つわけではないが、かといって一方的に諸悪の根源とするのもおかしいと思うだけだ。
為替市場では財政拡張への警戒によって円安が続いている。株式市場はその円安もあって日経平均株価が連日最高値を更新している。
これらは高市氏の掲げる積極財政姿勢が影響している。
財政拡大の余地はあとどれくらいあるのかは人によって考え方が異なる。まだまだ全然大丈夫という人もいるし、もうそろそろやばい水準になりつつあると考える人もいる。
これまで財政という風船は膨らみ続けてきた。緊縮財政と非難する人がいるけど、傾向としてはずっと膨張し続けている。そもそも風船が膨らむことは豊かさに結びついてきたのか。財政が膨らんでGDPの数字が増えてそれで本当に豊かになっているのか。
そしてこの風船はこのまま膨らみ続けることができるのか。
風船のゴムが質が良くてよく伸びるから結構大丈夫なのかもしれない。
でも突然ブラック・スワンが飛んできて風船を割ってしまうかもしれない。
世間はどんどん風を送り込めと催促するが、それを見た投資家は破裂する可能性にチャンスを見出したりする。
おそらく膨らむ風船がいつ破裂するかは実際に破裂した時にしかわからない。
そして風船がいつ破裂するかを当てることは重要でない。
風船がいつ破裂してもびっくりしないように耳をふさぐ準備をしておくことだ。