ピケティの「r>g」という不等式が話題になって久しい。資本によって得られる富つまり資産運用により得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早いという実態を表した。
現在の日本ではインフレ下にあっても賃上げが思うように進まず実質賃金は一向に上がらないでいる。一方、上場企業は配当の増加など株主還元を積極的に進めている。株式を持つ者と持たない者との差が広がりつつあり、まさに「r>g」という現実が突き付けられている。
むろんこういう状態は望ましい状態とはいえないので政治がなんとかするべきなのだろう。だがいくら政治に期待したところで期待通りになるかはわからない。
なぜ労働者の賃上げが進まず、株主への還元が重視されるのか。
株主への配当は、売上から原価・人件費・経費を差し引いた利益で、ここからさらに税金を支払った後の残りの利益から支払われる。つまり株主への配当というのは受け取りが最後の最後になるということだ。だが、この最後の最後に支払う相手である株主こそが株式会社という仕組み上もっとも重要な存在であり、だからこそ株主への還元が重視されるのだ。
ここでこういう構造に対して文句を言うのか、それともこの構造を利用するのか。
文句を言うこと自体は簡単だが、仕組みを改めさせるには多大な労力がいるし、いつ実現するかもわからずその間どんどん疲弊していく。
「r>g」という不等式は現実に目の前に存在している。
それに対してどう行動するのがいいのか。
昔観たドラマ「ドラゴン桜」の登場人物が言ったセリフを思い出す。
「世の中の実態と仕組みを知らないってことがバカなんだよ」
「なぜ社会はこうなってるのか、誰がどんな意図でこの仕組みを作ったのか、本質を見抜き、自分なりの答えを出す力をつけろ」