先日、YouTubeを見ていて興味深い動画に出会った。
小学生でも解けそうな算数の問題なのだが、これが数学者の間でも長年の論争になったというのだ。
その問題というのがこれだ。
6÷2(1+2)
この解答として、「1」と「9」に分かれるという。しかも人間だけではなく計算機によっても答えが違うらしい。
私は当たり前に「1」だと思ったが、言われてみれば確かに「9」という解答も成立しうる。
さて、どちらが正しいのか。
動画での解説によると、「1」と解答した人は数学的考え方で、「9」と解答した人は算数的考え方だという。
四則演算には以下のようなルールがある。
・かっこの中を先に計算する
・「+、ー」よりも「×、÷」を先に計算する
・「×」「÷」が共存するときは、左から計算する
このルールに忠実に従うなら、
6÷2(1+2)=6÷2×3=9
となる。ルールがあるのだからそれに従うべき、という算数的な考えだ。
一方、数学的な考えではかっこの前の2は係数であり、2(1+2)を一つの数字として捉える。よって、
6÷2(1+2)=6÷6=1
となる。
要は、2(1+2)をどう捉えるかにかかっている。
2×(1+2)と捉えるのか、あるいは2aといった文字数のように一つの数字として捉えるのか。
この問題に対し、主流なのは「定義不足」で2(1+2)をどう捉えるかが定まっていないので解答できない、ということらしい。
数学の算式というのは答えがはっきりしているものだと思われている。だがその算式でさえ考え方によっては全く違う答えが導き出されてしまう。
議論がかみ合わない場合も、お互いの定義が違っていることが原因なのだろう。
世の中は白黒はっきりしているわけではなく、ほとんどが濃淡のあるグレーなのだ。
にもかかわらず、断定的に白黒つけたがる。白黒つけたいのならきちんと定義づけしないといけない。
ちなみにグーグルでこの計算をさせると「9」という解答が出る。
ただし、(6÷2)*(1+2)=9となっていて、6÷2(1+2)を(6÷2)*(1+2)と解釈して計算していることを明示している。ちゃんとグーグルとしての考え方を示したうえで結論を出しているわけだ。
短絡的に結論だけに着目してしまうことは危険なことだと改めて感じる。