ウォーレン・バフェットが米投資会社バークシャー・ハザウェイの最高経営責任者から2025年末で退くという。
ついにこの時が来てしまった。
バークシャーの株式を取得し経営権を握ってからの60年でその株価は約6万7000倍になったという。
これはバフェットの優れた投資手腕によるものであることは間違いないが、同時にアメリカ経済の繁栄が根底にあるともいえる。
そのアメリカ経済も様々な歪みが生じており、それがトランプ政権を生み出した。トランプ政権は強引な関税政策によって、あたかも世界の経済環境をリセットしようとしているかのように見える。
「Make America Great Again (MAGA:アメリカを再び偉大にする)」とトランプ大統領は声高に叫ぶが、裏を返せば現状のアメリカは偉大ではないということだ。
かつてのアメリカの偉大さがバフェットの投資成績にも影響したと考えられるなら、そのバフェットが表舞台から去ることはアメリカの繁栄時代からの節目を象徴しているのかもしれない。
今後アメリカが再び偉大になるかはわからない。
ただ、バフェットが日本の5大商社株に投資したようにアメリカ以外にも目を向けていたことは注目に値するのではないか。
一貫した投資哲学を持つことの重要性をバフェットは示してきた。バフェットが投資してきた企業は様々だが、企業の本質的価値に比べて株価が割安な銘柄を探るという点で一貫している。日本企業に対してもその姿勢は変わらない。
考え方や哲学など普遍的なものは時代が変わっても通用するものだ。
時代の変化に合わせる必要があるものもあるが、バフェットの投資哲学はきっといつまでも残るだろう。