平家物語の冒頭に有名な言葉がある。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。”
祇園精舍の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。娑羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のようである。勢い盛んな者も結局は滅び去り、まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。
すべての物事は絶えず変化していて、栄えたものもやがて衰えていく。
今まさにその大きな変化の渦に巻き込まれている状態なのだろう。
ただ、その変化の真っ只中にあることは気付きにくいのかもしれない。
株式投資は経済成長の波に乗っかることでもあるが、その大きな波を生み出していたアメリカが変化しつつある。しかも栄える方向ではなく衰えていく方向への変化だ。
盛者がいつか必ず衰えるなら、その衰えた者に代わって新たな盛者が現れるということでもある。
長い歴史上でも覇権国は入れ替わってきた。
では新たな盛者は誰なのだろう。
現在存在する国とも限らない。国の統治が変化して現在とはまったく別の国へと変化するかもしれないからだ。
その盛者がはっきりするまでは長い時間がかかるのではないか。私がまだ生きているうちかもしれないし、もっと後かもしれない。その間は混沌が続くことになる。となると経済成長の大きな波は生まれず、小さな波が繰り返しやってくるようになるのかもしれない。
ただ地球レベルで見れば小さい波でも小舟に乗っている者からすれば大きな波ということはありうる。これは株式投資においてもインデックス投資から個別株投資へと変化することになるのではないか。
盛者必衰。
投資手法もこの理から逃れられないのだろう。