相変わらずトランプ大統領は強気に見える。だがその一方でそれが強がりのようにも見えてしまう。言葉では強いことを言っていいても、実行に移すとどんどん変化していく。
トランプ大統領は米国第一主義を唱えるが、実際はトランプ第一主義なのだ。米国という隠れ蓑をまとって、その米国のトップである自分を大きく見せたい。何よりも自分が一番重要であって、功績を上げることでとにかく称賛を浴びたいのだ。
だから口にしていたことが上手くいかなくなると苛立ち始める。ロシアとウクライナの停戦交渉などが典型的だ。当初は短期間で戦争を終わらせると豪語していたのに、それが困難な現実に直面すると停戦の仲介を止めるような気配をみせたりする。ロシアのプーチン大統領とは親密な関係と言っていたにもかかわらず、交渉が難航すると非難をし始める。
関税政策についても株安とドル安に加えて米国債が下落して金利が上昇するととたんに実施を延期した。
こうしたトランプ大統領の行動が米国に何をもたらしたか。
トランプ大統領は自身への支持を得るために米国の信用を削っているのではないか。
つまり、関税政策を巡る交渉がこれから本格化するが、それで合意を得たからといって実際に履行されるのか確信が持てない。また突然違ったことを迫ってくるかもしれないわけだ。米国の信用を削っているというのはそういうことだ。それが米国債離れという形に現れている。
その点、ロシアという国は歴史的にみても信用は低い。条約などの約束も破るために結ぶと言われるほどだ。現在のロシアの振舞いもまさにそういう歴史を反映している。
約束しても守らない世界といっていいなか、日本はバカ正直なほど約束を守ろうとする国といっていい。それによって世界から搾取されるのではないかという懸念があるが、それでも最後の最後にものを言うのはやはり信用なのではないか。
人間関係でも同じ。
最終的に最も強いのは「あの人は信用できる」と言われることだと思う。
現在は正直者がバカを見る世界なのかもしれないが、そんな世界でバカ正直さを持つ希少さが逆に優位になるような気もするのだ。