日本でいう「投資家」は幅広い意味がある。英語では投資家をインベスターというが、実際には他にトレーダーとかスペキュレーターもいる。ところが日本ではすべて「投資家」という言葉で一括りにされてしまう。投機という言葉も本来は投資とは異なるものだが、広い意味で投資に含まれているといっていい。
だから投資について話をしていても内容がかみ合わないことが起こりがちになる。
インベスターとトレーダーではやっていることが根本的に違うからだ。
ちょっと前までは日本では投資家というとほぼトレーダーを意味していたように思う。インターネットの発達とともに株取引もネット化されたことで売買を機動的にできるようになり、デイトレーダーの存在がもてはやされた。ほとんどの人が株取引というのは売買を繰り返すことで儲けることだと思っていた。
だが最近は急速にインベスターが増えているように思う。新NISAの影響もあるが、長期的視野で考えて行動する人が増えているのだろう。
インベスターが良くてトレーダーが悪いというわけではない。
問題なのは、自分がどういう投資家なのかの自覚がないことだ。
例えば、インベスターのつもりでいたのに相場が急落したら怖くなってトレーダーに変身してしまう人がいる。本当のインベスターであれば、短期的な株価変動は気にせず長期的な視野を崩さない。
逆にトレーダーだったはずなのに含み損を抱えるととたんにインベスターとなって含み損の銘柄を保有し続ける正当な理由を探し出したりする。本来のトレーダーであれば塩漬けなどせず速やかに損切りするはずだ。
自分自身が何をしているか明確に自覚していなかったら上手くいく可能性は低くなる。
投資家としての自覚がはっきりしていなければ行動が一貫しなくなり、大きな成果を得ることは難しくなるだろう。