米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が外交の席で口論になったことが大きな波紋を呼んでいる。感情的にはゼレンスキー大統領に同情したい気もするが、理性的に考えれば失敗だったといえる。
これでロシアとウクライナの停戦交渉はますます難しくなる。
ウクライナとしては米国の軍事力がどうしても必要であり、その見返りとして鉱物資源の権益を与えることで合意していたはずだった。
大国と小国の国家間の外交というものがいかに難しいものであるかをまざまざと見せつけられた。
米国はウクライナへの軍事支援停止を表明したが、これはウクライナに再度交渉のテーブルにつくよう迫るものだろう。だが、軍事支援を停止することはウクライナが弱体化することを意味し、ロシアからすれば停戦する意味がどんどん薄くなっていくため、かえって停戦交渉が進まなくなるおそれもある。
米国はロシア寄りにも見えるが、それは中国の存在があるからだ。ウクライナをはじめロシアの脅威にさらされる欧州は安全保障上の観点から米国の力を必要としているが、米国からすれば中国とロシアが結びついてしまうことのほうが厄介なのだ。とくに経済力をつけている中国を牽制するためにロシアとの関係は良くしておきたいと思うのも無理はない。同時に欧州への関与から手を引きたいとすら考えているかもしれない。
ウクライナは米国の存在がなければロシアに対抗できない以上、米国の意向に従うほかないのが現実だ。
安全保障を米国に頼っている欧州や日本も他人事ではない。
水面下では利害が複雑に絡み合っている。
大国による横暴だといってもしょうがない悲しい現実なのだ。
これからは外交力が一層問われることになる。
日本にはそうした外交力が備わっているのだろうか。
こうした国際情勢も踏まえて投資することを考えないといけないと改めて感じる。