かつて販売開始時に行列ができたともいわれる人気ファンドがあった。野村アセットマネジメントの「ノムラ日本株戦略ファンド」で「1兆円ファンド」とも言われた。
そのかつての「1兆円ファンド」は運用不振が続き、ついに他の投信に併合されて運用部隊も解散する方針だという。
このファンドは2000年2月に設定されたが、ちょうどITバブルのころだったことで人気が出たのだろう。だがその後ITバブルが崩壊し、それからずっと低迷することになる。設定来の騰落率は基準とする東証株価指数(TOPIX)を大きく下回り、足元の残高は560億円程度にまで落ち込んでいるという。
結局のところ販売側が手に入れた手数料で儲かっただけで、肝心の投資家は散々な目にあったことになる。とはいえ買い手の投資家もブームに乗っかっただけであり、真の投資家というには程遠い。
業績不振でも株式市場に居座り続けるゾンビ企業のように、運用が低迷して存在意義がなくなっているゾンビ投資信託はたくさんあるのだろう。新たにファンドを作って売り出し販売手数料を稼ぐという手法がまかり通った結果でもある。投資の本質からかけ離れていたのだから当然の成り行きだともいえる。
ここから得られる教訓はたくさんあるだろう。
例えば、ブームというものの危険性。
現在ではインデックスファンドがブームともいえる状態だ。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という。
程度を超えればいずれ害が生じるようになるものだ。
ブームというものには気をつけたほうがいい。