もうすぐ今年も終わる。
今年は為替と金利に振り回された印象がある。
日本では利上げするのかしないのか、米国では利下げするのかしないのかで右往左往し、要人の一言一言が異常なほど注目されていた。
また、為替も激しく動いた。1ドル140円前半の時もあれば160円台になったこともあり、その差は約20円にもなる。この為替の変動も金利差による影響が大きいとされている。
この金利と為替に振り回されるのはなぜか。
突き詰めれば経済の地力の差なのだろう。
米国は金利を上げても経済は力強いままだ。対して日本はわずかな金利上昇すらままならない。極端に例えるなら、米国は重いバーベルを軽々と持ち上げさらにその重さを増しても持ち上げ続けられるのに対し、日本は鉛筆を持ち上げるのが精一杯でちょっと重いボールペンにすら持ち替えることすらできないでいるようなものだ。
経済の筋力に大きな差ができてしまっている。
金融緩和という補助装置によってバーベルを持ち上げるように装ったとしても、実際は鉛筆を持つ力ぐらいしかない。本来は地道に筋力をつけなければいけなかったのに、手軽な補助装置に頼り続けた結果が現在の状態なのではないか。
どうやって経済の筋力をつけるのか。
国会では年収の壁が議論になっている。それは必要なのかもしれないが、それが経済の筋力増強に本当につながるのか。もっと他に根本的にやらなきゃいけないことがあるのではないのか。
少子高齢化は進み、人口は減少し続けている。
新NISAで投資を促進しても、投資先は米国株などで海外へ出て行ってしまう。
日本経済の地力が失われ続けている。
政治家は本気で経済を良くしようとは思っていない。デフレ脱却のために物価上昇を目指してきたのに、いざ物価が上昇すると物価対策をし始める。結局のところ政治家にとってはいつまでも経済が低迷して低金利が続いているほうが都合がいいのだ。そうすれば低コストで国債を発行し、増税することなく経済対策と称して金をばら撒いて有権者の歓心を買えるからだ。
有権者もそういう政治家を選ぶ。「もっとくれ、もっとくれ!」と求め続け、「増税なんてもってのほかだ!」と罵る。そしてかつては日銀が悪いといい、今度は財務省のせいだと叫んでいる。その次は誰のせいにするのだろう。
こうしたことが続いた結果、今がある。
おそらくこれからも続く可能性が高い。むしろ拍車がかかるかもしれない。
でもそこにチャンスが眠っているのではないか。
天邪鬼な見方かもしれないけど、そう思っている。