ホンダと日産の経営統合が話題となっている。
日産は業績不振によって崖っぷちに立たされていたが、この統合でなんとか生き延びる道筋を得たようだ。だが一方のホンダにとってこれが吉となるかどうか。
ホンダによる日産救済のような形にも見えるが、経営統合によって競争力がつくとは限らない。統合によって世界有数の販売台数となる規模になるが、株式の時価総額でみればそれもしょぼく映る。
もし、テスラがしようと思えば経営統合したホンダと日産を買収できてしまう。それどころかトヨタすら買収されかねない。なにしろPBRはトヨタでさえ1倍をやっと超えるくらいでホンダや日産は1倍を大きく下回る。さらに円安によって海外からみれば相当割安に見えるはずであり、買収の可能性が全くないわけではないだろう。
ホンダと日産が経営統合しても世界からみれば弱者連合ぐらいにしか見られない。トヨタですら安泰ではない状態とすれば、もはや日本の自動車産業は衰亡の瀬戸際にある。自動車産業は部品なども含め産業の裾野が広く、これまでの日本経済を引っ張ってきた。家電などの電機産業が衰退したあとも自動車産業はなんとか競争力を維持してきた。その自動車産業が衰退すれば日本経済には大きな打撃になる。
もし自動車産業がこのまま衰退していくとすれば、今後の日本経済を牽引する産業は何だろう。
考えられるのは電子部品や素材だろう。これは半導体にも関連する。
電子部品や素材関連には、世界中で真似できない高い技術力を持ち高いシェアを誇る日本企業が多く存在する。これまでは地味で目立たなかったが、こうした企業の存在感が一層増していくのではないか。
その他にはマンガやアニメ、ゲームといった分野がある。観光地としての日本にも魅力があり、インバウンド関連も有望だろう。
世の中は変化し続けるものであり、産業の強弱も同様だ。
日本経済も厳しいだろうが、まだまだ魅力的な分野はある。そうした分野を育てるのも株式投資の役目だ。