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本当の悪魔

韓国の政治が混乱している。尹錫悦大統領は野党多数の国会が行政を麻痺させていると訴え「非常戒厳」を宣言したものの、国会議員の決議により解除された。もともと少数与党で政権基盤が弱いことが根本にあるが、日本の政治も同様の状態であり全くの他人事ではない。

 

このまま弾劾されて大統領を罷免されるのかと思いきやそう単純でもないらしい。熱くなった感情に流されず冷静な理性を取り戻そうとする動きもあるのだろう。

 

こうした一連の動向の裏には「民意」という存在がある。

この「民意」については、「リーガル・ハイ」というテレビドラマで考えさせられるセリフがある。

 

弁護士である主人公は、民意を味方につけ有利に裁判を進める検事に苦戦する。

世論は被告人を死刑にするよう求め、主人公のパートナー弁護士が暴行を受けるほどになっていた。

こうした状況で主人公は次のように怒りを込めて発言した。

 

”死刑にしましょう。
現場での目撃証言はあやふやだけれど、死刑にしましょう。
被告人の部屋から押収された毒物が犯行に使われたものかどうか確たる証拠はないけれど、死刑にしましょう。
現場に別の毒物らしき瓶が落ちていたという証言があるけれど気にしないで、死刑にしましょう。

証拠も証言も関係ない。

高級外車を乗り回しブランド服に身を包みフカヒレやフォアグラを食べていたのだから、死刑にしましょう。

それが民意だ。
それが民主主義だ!
なんて素晴らしい国なんだ。
民意なら正しい。
みんなが賛成していることなら、全て正しい。

ならば、

みんなで暴力を振るったことだって正しいわけだ。
私のパートナー弁護士を寄ってたかって袋叩きにしたことも、民意だから正しいわけだ。

 

冗談じゃない。
冗談じゃない!!!!!

 

本当の悪魔とは、巨大に膨れ上がったときの民意だよ。


自分を善人だと信じて疑わず、薄汚い野良犬がドブに落ちると
一斉に集まって袋叩きにしてしまう。

だが、世の中には、
ドブに落ちた野良犬を平気で助けようとするバカもいる。
己の信念だけを頼りに危険を顧みない、バカがね。

 

(中略)

民意などというものによって人1人を死刑にしようというのならすればいい。
所詮、この一連の裁判の正体は、嫌われ者を吊るそうという国民的イベントに過ぎないんですから。

己のつまらない人生の憂さ晴らしのためにね。

そうでしょう?醍醐検事。

あなたがた5人はなんのためにそこにいるんです?

民意がすべてを決めるなら、こんなに格式張った建物も権威づいた手続きも必要ない。
偉そうにふんぞり返ってる、じいさんもばあさんも必要ない。

判決をくだすのは、断じて国民アンケートなんかじゃない。

我が国の碩学であられる、たった5人のあなたがたです。
どうか、司法の頂点に立つ者の矜持を持ってご決断ください。
お願いします。”

 

 

民主主義の国でこの民意というものが巨大化しつつあるように感じる。

民意を反映させることは重要だが、だからといってすべてそれが正しいとは限らない。

法は民意とは違う。

 

韓国ではしばしば民意が裁判に影響を及ぼすと言われている。

それが日韓の外交にも及んで関係が悪化したりした。

 

ネット上の民意も暴力的になっている。

 

本当の悪魔とは、巨大に膨れ上がったときの民意。

これは一人一人が自覚していないといけないが、現状はとても危ういように感じる。