上場企業の決算発表が続いているが、その内容は市場の期待に届いていないことが多いようだ。私の保有銘柄も例外ではなく、株価は落ち込んでいる。
そんな状況の中、また円安傾向が強まってきた。米国の次期大統領にトランプ氏が就任し、議会も共和党が優位ということでトランプ氏の掲げる政策が進みやすくなる。トランプ氏が掲げる関税措置やトランプ減税の延長・恒久化などがインフレの再燃を招くとされ、それが金利上昇圧力となり、ドル高となっている。
ドル高円安は多くの日本企業にとってプラスとされている。この円安のまま推移すれば業績が押し上げられることになり、市場の期待に届かなかった業績が改善される可能性もある。
円安は日本企業の価格競争力強化につながるというが本当にそうなのか。
確かに円安によって海外には割安に売ることができるようになる。でも単純に安く売るということと、いいものを安く売るということは根本的な違いがある。
単純に円安によって安く売ることができるということは、逆に円高になったら売れなくなるということでもある。商品やサービス自体に魅力がなければ当然のことだ。アベノミクス以降、円安傾向が続いてきて日本企業の業績は向上してきたが、それは円安の影響をかなり受けている。いわば円安という補助装置があったおかげともいえる。だが、この補助装置のおかげにもかかわらず、真の実力と勘違いした企業もかなりあるのではないか。
本来なら、補助装置があうるちに真の実力をつけ、補助装置がなくても自走できるようにするのが経営者の役割だろう。それができている企業がどれくらいあるのか。
再び円安になり補助装置による業績の嵩上げが起きるかもしれない。
その間に、真に実力をつけて足腰が強い企業とそうでない企業の差は広まっていることになる。
市場の期待に届かない企業が続出しているこの決算発表シーズンは、弱い業績の中であっても底力がある企業かどうかを見極めるいい機会なのかもしれない。