ユニクロの柳井CEOによる「知的労働者をもっと入れて、知的労働の生産性を上げるための勉強を日本でも海外でも一緒にやらないと」、「少数精鋭で仕事するということを覚えないと日本人は滅びるんじゃないですか」との発言が話題だ。
この発言に対し、ZOZO創業者である前澤氏は「僕は逆のように感じます」と反論したことで論争を呼んでいる。この後、楽天の三木谷CEOや元ネスレ日本CEOの高岡氏も発言をしている。
どうも人々は「亡国」とか「滅びる」ということについては敏感になるらしい。
諸子百家の法家である韓非子に「亡徴」編というものがある。国が亡びる兆候について47項目も列挙したものだ。
現代では当てはまらない項目もあるが、君主を首相や社長など組織のトップに入れ替えれば現代でも十分通用する内容が多い。
例えば以下のようなことだ。
・重臣にとり入れば官職に就くことができ、賄賂をつかえば爵禄が手に入る。 このような時、国は亡びるであろう。
・君主が凡庸で無能、何事につけ優柔不断で、人まかせにして自分の考えというものがない。このような時、国は亡びるであろう。
・法に基づかず、無原則に刑罰を加える。空理空論に耳を傾け、現実に役立つかどうかを考えない。外見を飾り立てて、実用を無視する。このような時、国は亡びるであろう。
・君主の人物が薄っぺらで簡単に本心を見透かされ、またおしゃべりで秘密が守れず、臣下の進言内容を外にもらす。このような時、国は亡びるであろう。
・国内の人材を無視して他国の人間を登用し、その際、実際の功績を吟味せず、名声の有無によって採否を決める。この結果、生え抜きの臣下をさしおいて、他国者が高位につく。このような時、国は亡びるであろう。
・独善的で協調性がなく、諫言されればむきになる。国家全体のことを考えずに軽率に動き、しかも自信満々である。このような時、国は亡びるであろう。
そして最後に韓非子はこう述べる。
”亡徴とは、必ず亡ぶということではなく、亡ぶ可能性があるということを言うのである。亡国のきっかけは、必ずその治乱や強弱が偏るからである。
木が折れるのは必ず虫がつくからであり、垣根が壊れるのは必ず隙間ができるからである。
しかし木に虫がついても強風が吹かねば折れず、垣根に隙間ができても大雨が降らねば壊れない。”
現状の日本に例えれば、木にたくさんの虫がついていて、垣根は隙間だらけといったところだろう。
強風や大雨に該当するものは何だろうか。