「セルインメイ」という有名な相場格言がある。「株は5月に売れ」ということだが、5月になってこの言葉通りに実行している人もいる。
それは「5月に株価が下がるから、売り逃げしておこう」ということなのだろう。
だが、本来はこの格言には続きがあって、以下のような言葉となっている。
Sell in May and go away, and come on back on St. Leger’s Day.
(5月に売却して、セント・レジャーズ・デイまで戻ってくるな)
セント・レジャーズ・デイというのは9月第2土曜日のことで、イギリスで大きな競馬レースが行われる日らしい。
要は、「株は9月ごろに買い、5月に売れ」ということであって、「5月に株価が下がるから売れ」ということではない。実際、5月に株価が下がりやすいという明確な傾向はない。
ただ、株式相場は季節によって特徴が出る。企業の決算スケジュールや機関投資家の動向などが影響しているともいわれる。その季節的な特徴に基づいて「株を9月に買い、5月に売る」と儲かりやすいということらしい。
実際のデータでこういう傾向があるのかもしれない。ちょうど今は9月だが、株を買うのにはいい時期といえるのだろう。でも、例えば米国株では長期的に右肩上がりなのでいつ売買しても利益が出ただろうから大差ないともいえる。
こういう格言というのは表面的な言葉の意味だけではなく、その背景も理解していないと誤った意味で捉えてしまう危険がある。それに格言というのは絶対的なものではないし、妄信してもいけない。常に本質を捉えようとする姿勢こそが必要だと思う。