8月初旬のあの歴史的暴落のあと、株式市場は冷静さを取り戻しつつある。今となっては台風が過ぎ去ったみたいなものだ。
そしてあの暴落について不思議なことがある。
いまだに明確に「○○ショック」という名がつけられていないことだ。歴史的な暴落であったにもかかわらず。
日銀の植田総裁の発言が発端として「植田ショック」と言う人もいるようだが、それで世の中に広まっているわけでもない。米国の景気減速懸念と利下げ観測、それによる為替の急激な円高も加わって心理的なパニックが広がっていったと考えられ、何か明確な一つの理由ではなくいくつもの材料が重なり合って突発的な現象が起きたということなのだろう。
そして実体経済にも何ら大きな影響が出ていない。リーマン・ショックの時のようにどこかの金融システムが危機に陥っているわけでもなく、この世の終わりのような出来事が起きているわけでもない。
むしろ、なにか特定の明確な理由ではなく、いくつもの複合的な要因から悲観的な感情が醸成されてそれが群集心理で一気に拡散されていった側面が大きいのではないか。
群集心理だけでこれほどの暴落を引き起きしたということ自体がある意味歴史的だったともいえる。
そういえば、1987年のブラックマンデーも理由は後付けでしかなく明確な原因はよくわからない。だからこそ「○○ショック」とは呼ばれずブラックマンデーと言われるのかもしれない。
くしくも今回の暴落も月曜日だ。おそらく新たなブラックマンデーと呼ばれるようになるのだろう。
肝に銘じるべきなのは群集心理に飲み込まれないことだ。
ベンジャミン・グレアムは著書である「賢明なる投資家」で”ミスター・マーケット”なる人物を紹介している。これは株式市場の株価の動きを擬人化したものだ。
グレアムが言うように、ミスター・マーケットは気まぐれなので彼に振り回されてはいけないのだ。
この気まぐれは群集心理からきていると私は思っている。だからこそ群集心理から距離を置く姿勢を身に着けておかないといけない。
過去のブログ記事を参考までに。
※「群衆」と「群集」の違いについて、「群衆」は「人の群れ」を意味し、「群集」は「人や物が集まること」を意味するらしい。