株式市場ではまだ動揺が続いている。
ブラックマンデーを超える下げ幅を記録したかと思えば次の日には過去最大の上げ幅を記録するという事態がその動揺を物語っている。
投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表した指数である日経平均ボラティリティー・インデックス(日経平均VI)の動きを見ると、暴落前は約20前後だったものが暴落時には70を超えるところまで急上昇し、現在はまだ約50前後の水準にある。平常時の水準からは依然として高い状態にあり、投資家の心理的な不安は収まっていない。
短期的な株価の動きは投資家の感情の揺れと私は解釈している。だから日経平均VIのグラフは投資家の心電図みたいなものだ。日経平均VIが大きいということはそれだけ感情の揺れ動きが大きいということだ。
ここで重要なのは、その感情が現状を正しく反映しているとは限らないということだ。感情がこれほど揺れ動いている一方で、企業業績も同じくらいの揺れ幅で動くとは思えない。
不安が実現するかもしれないがそうならない場合もありえる。どうなるかわからないからこそ不安になるわけで、とにかく身を守ろうという考えに傾くことになる。
投資家の感情の揺れは「価格」すなわち株価に反映されて激しく動いている。だが企業の「価値」はそんなに動いているのか。
景気や為替の変動で「価値」を計りかねていることは確かだが、感情ほど極端には動いていないのではないか。
「価格」と「価値」の乖離が大きくなっている可能性がある。
あくまで可能性であり、銘柄によっては「価格」と「価値」が一致していることもありえる。だが市場全体が一気に下落したことを考えれば、業績が底堅い企業でさえ売り込まれて割安になっている可能性が高い。沈んだままの銘柄か浮上する銘柄かがはっきりと分かれてくるということだ。
そういえば、あのバフェットはこの暴落前にはアップル株を売却していて大量の投資資金が手許にあるらしい。たまたまなのか狙っていたかわからないが、彼にとっては今の状況は絶好のチャンスに移っているに違いない。
もし、「バフェットが動いた」というニュースが出れば、株式市場の状況は一変するかもしれない。