国際会計基準(IFRS)で損益計算書の開示ルールが2027年度から大幅に変わるようだ。
損益計算書の構造が変わって、「営業」「投資」「財務」の3区分が設けられることになる。この区分はキャッシュフロー計算書と同じで、損益計算書との比較がしやすくなるかもしれない。
会計上の利益というのは相対的なものだ。会計基準が異なれば計上される利益の額も異なることになる。だからできるだけどの企業も同じ会計基準を用いることが理想とされる。その理想に近づくために国際会計基準がある。
だが同じ会計基準でも異なる測定方法が存在するため、計上される利益が相対的であることにはかわりない。
そもそも会計上の利益を企業間で比較することに意味があるのだろうか。
例えば、営業利益が10億円でも売上が100億円の企業と1,000億円の企業とでは意味合いが異なる。では利益率で比較するといっても業種や業態で異なるし、同業種でも収益構造が違っていたら比較したところで意味があるのか。
だとしたら利益という数字をもとに企業ごとに比較することはあまり意味がないのではないか。
利益の比較というよりむしろその企業の利益がどう生み出されているかを解明することが重要なのではないかと私は考えている。
そういう観点からすると、キャッシュフロー計算書というのは非常に役に立つ。企業がキャッシュをどれくらい生み出し、将来に向けてどれくらいキャッシュを投資し、どうやって必要なキャッシュを調達したり借金返済や配当を支払っているか、を把握することができる。さらにキャッシュフロー計算書は、「収入」と「支出」という事実そのもののため、会計上の利益のように操作ができない。
損益計算書とキャッシュフロー計算書はこれまで全く別物だったが、損益清算書の区分がキャッシュフロー計算書に近づくことでキャッシュフローと利益の違いがよりくっきり表れるようになるだろう。そして両者の違いから新たな発見があるかもしれない。
今回のこの変更は、そういう意味で興味深い。