ほとんどの食品には賞味期限がある。そして賞味期限が近いほどその値段は安くなる。それは賞味期限が近づくほど価値が減少していくと考えられるからだ。
この賞味期限というのは企業にもあるのではないかと思っている。ある企業に投資するのはその企業に価値があるからだが、その価値が未来永劫あり続けるとは限らない。名門企業であっても、賞味期限が切れて滅びていくこともある。そして賞味期限が近いと思われる企業の株価は安い。
株式投資で儲けるには、安く買って高く売ればいい。こういうととにかく安いものに目が行くが、安いのには何らかの理由があって、賞味期限切れが近いのもその一つだ。
だが、企業も株にも賞味期限は書かれていない。
だから賞味期限がどれくらいなのか推定しないといけないのだ。
その推定には、企業が発する様々な情報を分析するしかない。
決算短信や有価証券報告書を読んでみるのはもちろんのこと、企業のホームページも参考になるし、製品やサービスを実際に試してみるのもいい。
そして日々のニュースにもヒントがあるかもしれない。ニュースで報道される企業の不正などは、組織が劣化していることの兆候かもしれず、その企業の賞味期限が迫っていることを暗示している可能性もある。むろん、一過性のものであれば挽回の余地はあるが、過去にも問題が明らかになっていて違う形で何度も現れるようであればかなり末期的かもしれない。最近のニュースでも思い浮かぶ企業がある。
食品を買うときに賞味期限をチェックするように、株式を買うときもその企業の賞味期限がどれくらいなのか考えることだ。そして賞味期限ができるだけ長いものを選ぶ。
でも時々間違ってしまうにちがいない。それでも試行錯誤するのだ。
それが嫌ならほぼ賞味期限のないインデックスを選べばいい。
長期投資とは、賞味期限の長いものを選ぶことだともいえる。賞味期限が切れたものを長期間持っていてもしょうがない。