経営不安が囁かれていたクレディ・スイスがUBSに買収されることになった。事の発端は米国のシリコンバレーバンクの経営破綻で、不安心理が飛び火した形となっている。
クレディ・スイスはこれまでも不祥事が頻発していて経営が不安定だとされてきた。しかし、金融機関への規制が強化されていて財務指標は厳しい水準を上回っていたという。それでも預金の流出が止まらず流動性が急速に失われて行き詰ってしまった。
これが信用を失うことの怖さだ。
理屈の上では健全だとしても、信用が失われると何もかも疑われてしまう。恐怖という感情が理性を上回ってしまい、その恐怖を鎮めるには信用できないものとは関わらないことが一番となるから、みんな一斉に逃げ出すのだ。
信用というのは理屈ではないところがある。
こういう状況をみて心配になるのはやはり日本の財政状態だ。
一部の経済専門家は、日本の財政は問題ないといろんな理屈を挙げて説明する。だが、ひとたび信用が崩れたらそんな理屈など吹っ飛んでしまうのではないのか。
クレディ・スイスは以前から経営不安があり信用がすでに揺らいでいた。そして別のところから起きた出来事で一気に崩れていった。
日本の財政にも不安が囁かれている。もし、何かのきっかけで同じように信用が崩れたらどうなるか。
これからしばらくは世界中で弱い銀行探しが続くだろう。
その中に中央銀行である日銀が含まれないことを祈りたい。