「テセウスの船」というと漫画やテレビドラマを思い浮かべるかもしれないが、そもそも「テセウスの船」とはギリシャ神話の伝説で有名なパラドックスの一つだ。
戦争に勝利した英雄テセウスの船を記念として後世に残そうとした。その過程で傷んだ部品が次々に交換されていき、ついには全てが新しい部品に取り替わった。さて、この船は最初の船と同じと言えるのだろうか。
また、取り除いた元の古い部品から別の船を作った場合、どちらが「テセウスの船」なのだろうか。
この問いは哲学者の間でも議論の的となっている。
人間のような生物も同じようなことが言える。
多数の細胞から構成されていて、その細胞は日々入れ替わっているのだから、昨日の自分と今日の自分は同じ自分といえるのだろうか、と。
ここでちょっと自分の株式ポートフォリオについて考えた。
ポートフォリオを構成する銘柄は常に一定というわけではなく、度々入れ替えがあり変化していく。ただ、ポートフォリオ全体を大きくしようとしているから昔のものとは異なる。もし、ポートフォリオから除外した銘柄だけで別のポートフォリオを構成したとしても現在のポートフォリオとは全く別物だ。取り替えた部品である銘柄がそもそも違うのだから当然だ。
ただ、部品である銘柄にこだわるあまりポートフォリオ全体の変化を見ることについてないがしろになっていないかということに気付いた。個別株投資をしているとどうしても個々の銘柄ごとの考えになってしまう。個々の銘柄への投資額や構成比率を変化させることでリスクを減らしリターンを増やすことがもっとできるのではないか。そういったことへの意識があまりにも少なかったように思うのだ。
投資においては「テセウスの船」をどんどんアップグレードさせていかなければならないということだ。
