自民党税制調査会は防衛費増額の財源確保に向けようやく増税案の骨格をまとめた。増税案を巡って一悶着あり、国債発行を主張する勢力との対立がどうなるか注目していたが、案外あっさり決着したように見える。
これは近いうちに選挙がないことと、増税の実施時期が明確に決まっていないからということもあるのだろう。
根本的には国の財政にかかわることでもあるが、同時に金融政策にも関係することであり日銀総裁人事を巡っての駆け引きという一面もあるのではないかと穿った見方をしてしまう。
ふと思ったのだが、税か国債かという二択ではなく、別の方法は考えられないのだろうか。クラウドファンディングという手法が浸透してきたし、使途を明確にした基金を募るという方法もあるのではないか。
税の負担を嫌がる背景には、自分の懐が痛むことだけではなく、税の使い途が適切になされていないのではないかという不信がある。もし、防衛だけでなく子育てや教育、医療や介護といったような使い途を指定できるなら寄付金を払ってもいいと考えるかもしれないし、それが選挙以外で民意を反映する手段となりうるかもしれない。
あるいは宝くじを発行することも考えられる。ふるさと納税は返礼品という見返りがあることによって普及したし、そういう何かしら見返りがあるような仕組みにすれば案外お金は集まるのではないか。
ただ、もし防衛費基金として寄付を募ったとしてお金が集まらなかったら、国民は自国の防衛についてあまり考えていなかったという不都合な真実を目の当たりにすることになってしまう。それはそれで困ったことになるし、結局は税金という形で強制的に搾り取られるのだろう。