投資狂日記

自由を追求するブログ

四半期開示の行方

四半期開示を巡る動きがまた波紋を呼んでいる。

金融庁は6月に四半期報告書をやめて四半期決算短信に一本化する方針を決めていたはずだが、将来的に四半期決算の開示義務を廃止して企業の任意とするタイミングを検討してはどうかと言い出した。

 

四半期開示の見直しは、岸田首相が「新しい資本主義」の具体策のひとつとして掲げたものだ。だが市場関係者などからの反発が強いこともあって、四半期報告書を廃止し決算短信に一本化することで簡素化し、企業の負担を軽減する方針だった。

 

だが突如、金融庁は11月25日の作業部会で「任意化のタイミングについて継続的に検討する」案を提示した。この背景には何があるのだろう。

 

四半期開示の廃止を訴えているのは関西経済連合会で、金融庁の作業部会に会員企業の委員を送り込んでいたという。関西経済連合会には、岸田首相とつながりが深い原丈人氏を信奉する経営者が多いらしい。原丈人氏は「公益資本主義」を唱えていて、その考え方が「新しい資本主義」の骨格となっているとされる。

 

これだけしつこく議論を蒸し返そうとするのはなぜなのだろう。そんなに四半期開示を止めさせたいのだろうか。それとも他に何か深謀遠慮があるのだろうか。

 

四半期開示を任意化することで情報開示が退化し、日本の株式市場への信頼が失墜するおそれはある。投資家としては四半期開示は維持してほしいと思っている。

ただその一方で、四半期開示を任意化したとして、直ちに四半期開示をやめるような企業に投資したいと思うだろうか。情報公開を渋り、投資家や株主からの圧力を嫌がる経営者のいる企業が株式市場に上場している意味はあるのだろうか。

 

もしかしたら、四半期開示を任意化することで、株式市場へ上場しているに相応しい企業かどうかをあぶり出すことになるかもしれない。プライム・スタンダード・グロースと市場再編をしてもあまり意味がなかった現状では、四半期開示の任意化のほうがかえって企業の姿勢がはっきり見えることになるかもしれない。

こういうことなら四半期開示の任意化もありかもしれないなと思った。