最近の株価の動きを見ていると、やや楽観的な雰囲気になっているように感じる。
米国ではNYダウ平均が3日続伸し1か月ぶりの高値となっている。それは米長期金利が低下傾向にあるからだ。そしてその低下の背景には、米連邦準備理事会(FRB)が12月以降に利上げペースを緩めるとの期待がある。
この「期待」というのはやっかいだ。
ちょっと前にも米国の利上げペースが鈍化するのではないかという期待が膨れ上がったものの、FRBのパウエル議長の発言によってその期待は木っ端微塵に砕かれ、失望に変化した。
市場はもうこのことをすっかり記憶から消去したのだろうか。
来週11月1~2日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。11月は0.75%の引き上げがほぼ確実視されていて、焦点は12月の上げ幅にある。ここで利上げ幅の縮小がありうるような発言への期待に沿って市場が動いている。というより、動かそうとしている人がいると言った方が正確なのだろうか。
こういう期待に乗っかる人が増えることによって市場での変動も大きくなる。そしてその期待が実現するとなればさらに勢いが増すことになるが、逆に期待外れとなった場合は期待が大きければ大きいほど失望も大きくなる。
市場の勝手な期待と失望に付き合うことで利益を上げようと多くの人が群がるわけだが、大抵は深い傷を負って失意に沈む。以前にも同じようなことがあったのに、今回は違うとばかりにのめり込む。
そういう狂乱は一歩引いたところで観察していたほうがいい。
市場は眺めているだけでいいのだ。株式は株価という数字データを示す素ではなく、その企業の所有権であり、その企業を所有するか否かを決めるのに際し企業を見ないで市場ばかり見ているというのは本末転倒なはずなのだ。
11月初めから企業の決算発表が本格化する。市場の派手な動きは勝手にさせておいて、じっくり決算を吟味しながらひっそりと静かに投資候補となる企業を見つけたい。