時折、テレビで宝くじのCMを見かける。
そういえば私はもうしばらく宝くじを買っていないが、妻は年末ジャンボ宝くじを少し買っていたりする。
買うと言っても数千円なので微々たるものだし、ちょっとした楽しみ程度としか捉えていない。大多数の人もそうだろう。また、宝くじは公共事業にも使われるものだから事実上の寄付みたいなものともいえる。宝くじは経済合理的でないことをわかっているという前提だからこそ、ちょっとしたお遊びで済む。
一方で、真剣に当たることを願って宝くじ売り場の行列に並ぶ人もいる。しかも何十万円分も宝くじを買うという猛者もいる。
でも不思議に思う。
宝くじはギャンブルの一つだが、それだけの資金を宝くじに注ぎ込めるのなら株式を買ったほうがはるかにいいのに、と。まともな会社の株式を買って保有していれば値上がり益は狙えるし、配当金や株主優待もある。
株を買うのを恐れる大きな理由は損をするかもしれないからだ。
だけど宝くじと株式を比べればはるかに宝くじのほうが損をする確率は高い。
にもかかわらず、宝くじに多額の資金を突っ込もうとするのはなぜなのだろう。
損をしたくないといって株式を買わない人が、損をする確率が高い宝くじを買ってしまうのは不思議でしかない。
おそらく、手短で、手軽にお金持ちになれる可能性があるからだろう。難しい知識もいらない。それと当選金額が具体的に示されていることもある。宝くじに当たれば一発逆転で人生が変わるから、それを期待してしまう。
だが残念ながら一発逆転が起きる確率は限りなく低い。世の中はそう都合よくできていない。
そんな儚い夢が現実になることに賭け続けているとますます夢のままで時間だけが過ぎて気づいたときにはもう多くのものを失っている。するとさらに一発逆転を狙おうと悪循環になりドツボにはまっていくのだ。
投資は長い時間をかけて育てるようなものであり、気長に待つことも求められる。
だが、人はその退屈な時間を過ごすことが苦手で、手っ取り早く、楽である方へ流れていく。
もし宝くじを買いたくなるような心理状態になっているとしたら、投資家としてはかなりヤバい状態かもしれず、冷静になる必要があるだろう。