保有銘柄の1つであるコムチュアが先週金曜日に第1四半期決算を発表した。
その内容は、売上高は前年同期比16%増だったものの経常利益は26.7%減という増収減益だった。減益だったことに驚いたが、中身をよく見てみるとあまり心配いらないと私は判断していた。
だが、週明けの株式市場ではコムチュア株が売り込まれた。
減益だったことがやはり影響しているのだろう。市場の期待通りではなかったこともあるのかもしれない。それでもこの反応が果たして合理的判断によるものなのだろうか。
長い期間投資をしているとこういう場面には何度も遭遇する。
おそらく減益という結果で即売りという判断をする投資家が多いのだろう。コムチュアは成長株であり、成長株が前年より利益を伸ばせなかったことが失望を生む。
でも多くの人がそう考えているからといってそれが正しいというわけではない。
市場には売り手がいる一方で必ず買い手もいることを忘れてはいけない。
コムチュア株はストップ安近くまで急落したが、それでも買い手は存在している。急落という場面で買い手はどう考えているのか。
おそらく売り手は短期的視点、買い手は長期的視点で考えているのではなかろうか。
長期的視点からいえば、今回の減益はあまりたいしたことではない。決算短信の文言からもそう解釈できる。決算短信では以下のような記述があった。
売上高は、DX関連ビジネスへの更なるシフト、プラットフォーマーやツールベンダー各社との連携の強化による営業活動の推進などの取り組みに加え、ビジネスソリューション事業の子会社の寄与により前年同期比で16.0%増の12期連続増収となりました。売上総利益は、提案力の強化やサービス品質・生産性の向上、コンサルティング業務の拡大、成長領域へのシフトなどで一人当たり売上高が伸長したものの、退職抑制策としての社員満足度向上のための労務費の大幅な増加、将来の事業拡大を見込んで採用した新入社員の一時的な非稼働工数の増加などにより、前年同期比で5.2%の減益となりました。営業利益は、採用や資格取得関連費用などの更なる成長に向けた先行投資に加え、ソフトウエアクリエイションの連結子会社化に伴うのれんを即時償却したこと等により、前年同期比で26.4%の減益となりました。
売上が増加した一方で減益だったのは人件費の増加と連結子会社化によるのれんの即時償却があったためだ。この人件費増加は将来の成長につなげるための先行投資という側面があり、今後予想される人手不足に対して迅速に対応したものと考えられる。また、のれんの即時償却は一時的な費用であり、今後は償却負担がなくなる。そもそもこの子会社化も人材確保の一環であり、今後のさらなる成長に貢献するものといえる。
それに第2四半期・通期の業績予想を変更していない。業績予想によれば、第2四半期・通期の経常利益は11.9%・16.5%の増加であり、十分達成可能と判断しているのだろう。
こうした内容を見て、長期的には「売り」という判断が妥当とは思えない。むろん、業績の下方修正はありうるが、下方修正したとしてもそれが長期的な低迷につながるような性質のものではない。
今日は株価が急落し、しばらくは低迷するだろう。
だが、いずれ株価は戻ってくると判断している。
買い手もそう思っているのだろう。
ただ、その判断が正しいとも限らないのだが。