「メタバース」という言葉が世の中に浸透してきた。あのフェイスブックが社名を「メタ」に改め、メタバース関連事業へ舵を切ることが話題にもなっている。
でも、このメタバースというものにあまり魅力を感じていない。
メタバースといって思いつくのは、現実とは異なる3次元の仮想空間に自分自身の分身であるアバターで参加していろんな活動をするというものだ。かつて「セカンドライフ」というのが流行ったが、それと同じようなことだ。
セカンドライフが流行った頃と比べて技術水準は向上しているから当時よりはもっとマシなものになるのだろう。
だが、だからなんなのだ。
アバターで仮想空間に入って、現実のような活動をしたところで所詮仮想にすぎない。何らかのゲームとして楽しむというのならばわかるが、日常生活に溶け込むとは思えない。
コロナ禍によってリモートで仕事をすることが普通になり、今後はそれが進んで仮想空間で会議や商談をするようになるというが、本当にそうなのか。そもそも仮想空間である必要ってあるのか。わざわざヘッドセットを取り付けるというめんどくさいことを毎回やるだろうか。
フェイスブックがメタに社名変更したが、私はGAFAのうちフェイスブックが最も弱く4社の牙城から滑り落ちるのではないかと思っている。弱いというのは事業に永続性が感じられないということだ。SNSからメタバースへ事業を変えていくことでその永続性がさらに懐疑的になった。あのウォーレン・バフェットもアップルには巨額投資しているがフェイスブックには手を出していない。それは将来性がわからないからだ。
メタバースという言葉は最近出てきたこともあって、その意味するところはまだ曖昧だ。株式市場ではメタバース関連ということで注目されることもあるが、それは「何か儲かりそうだ」という欲望が集まってきているだけで一種のバブル状態になりうる。今後はいろんなところでメタバースが溢れるだろうが、しっかり中身は吟味しないといけないと思う。