投資狂日記

自由を追求するブログ

PBR1倍未満企業の株価推移

会社四季報の新春号が発売されたので早速購入し読んでいる。

そこで気になったのは、PBR(株価純資産倍率)が1倍未満の企業が本当に多いということだ。これは以前からずっとそうなのだが、東証1部企業の約半数はPBRが1倍以下だから多いと感じるのも無理はない。

 

PBRが1倍未満ということが何を意味するか。

PBRは株価が1株当たりの純資産の何倍かを示す指標だ。理屈上では1倍未満の企業が仮に解散したら、株主に株価を上回る資産、つまり"おつり"が返ってくる計算になる。なのでPBR1倍未満の株式は割安株とかバリュー株と呼ばれる。

 

だが、PBR1倍未満の株式がお得かというとそうとも思えない。会社四季報でPBR1倍未満企業の株価推移を見てみると、良くてせいぜい横ばい、大体は緩やかに右下がりとなっている。つまり、PBR1倍未満の株式を保有していてもキャピタルゲインを得ることは難しいということだ。

 

株価はその企業の将来価値を表すものだとされている。そうであるなら、PBR1倍未満ということは将来の企業価値は現在の純資産の価値よりも低いと株式市場がみなしているということだ。資本を蓄積するどころか資本を食いつぶすと思われている。そういう見方が変化しない限り株価が右肩上がりになるわけがない。

 

さらに、PBR1倍未満企業の株式は配当利回りが高いことも多い。この高い配当利回りを狙って投資することも人気があるが、インカムゲインキャピタルゲインを合わせたトータルで考えると長期的に報われるかどうかは微妙だ。配当を多くもらっても株価が上がらずキャピタルロスが大きくなってしまっては意味がない。

企業が利益の大半を配当に回せば将来の成長投資がその分少なくなり成長力が削がれることになる。配当は資金を株主に返還していることでもあり、利益が成長しないまま配当が続けば結局資本を食いつぶしていることと同じだ。だから株価は上がらずPBRが1倍未満という現象が続くことになる。

 

そもそもPBRが1倍未満であることは異常なのだ。その異常が常態化してしまっていること自体、何かがおかしいのだ。異常を異常と思っていない上場企業が約半数もある株式市場も異常なのだ。

私はPBR1倍未満の企業は無視することにした。それだけで四季報を読むのも楽になるし、企業分析で無駄な時間を費やすこともなくなる。

無論、PBR1倍未満の企業の中にも有望なところは存在するだろう。だがそれを見つけ出すのは難しい。「割安」というのは価値あるものの価格が安くなっている状態をいうのであって、PBR1倍未満のほとんどの株式は単に価値がないから価格が安くなっているにすぎない。