脱炭素、デジタル化、5G、ESG、etc・・・。こうしたテーマについて私はあまり気にしていない。選んだ銘柄がたまたまテーマに沿っていたということはあるだろうが、まず注目するのはその企業そのものであって、テーマから企業を選ぶということはしない。
こういうテーマが声高に叫ばれるときは、背後に何があるか考える。
証券業界はテーマによって投資家の注目を惹きつけ投資信託などの投資商品を売り込みたいのかもしれない。政治家や官僚は新たな利権を得たいのかもしれないし、そうしたものに群がる企業もあるかもしれない。まあ考えすぎると陰謀論に引っかかりやすくなるかもしれないのでそこは気を付けないといけない。
そしてテーマがブームになるとさらに危険な兆候となる。ブームでの盛り上がりはバブルと同じだ。ブームに乗っかている時は勢いがあるが、ブームが去った後は見る影もない有様となる。
もし、テーマにかかわるのだとしたら直接ではなく間接的なほうがいい。
ゴールドラッシュで儲けたのは誰だったかを考えればいいのだ。儲けたのは金を掘り当てた者ではなく、採掘者に道具や衣類を売った人だ。
そう考えると、私の保有株に該当しそうなのが一つある。
昨日の日経ヴェリタスの冒頭記事で「空気制して温暖化征す」というのがあったが、脱炭素の行方はエアコンが握っているという。エアコンといえばダイキン工業だが、記事でも当然この優良企業は取り上げられていた。そのダイキン工業に部品を納入しているのが芝浦電子だ。芝浦電子は温度センサーを製造販売しており、ダイキン工業がエアコンを売れば売るほど芝浦電子も恩恵を受けることになる。
芝浦電子株を買ったのは脱炭素というテーマによってではない。温度センサーという必要とされる部品を製造販売する事業に着目したからであって、それが後になってたまたま脱炭素というテーマに引っかかったのだ。しかも直接的ではなく間接的に。
だから狙ったものではなく偶然の要素が大きい。投資テーマにかかわるのはこれくらいでちょうどいいのかもしれない。