9月になって涼しい日が続いているが、これから訪れる今年の秋は政治の季節となる。
菅首相が自民党総裁選に出馬せず退陣するという衝撃の展開になり、後継者争いが混迷の度合いを深めている。
コロナ対策への不信感から菅内閣の支持率は低下していったが、ここ最近の感染者数は減少に転じている。ようやくピークは過ぎたといってもよく、菅首相もあとほんの少し粘っていれば風向きが変わっていたかもしれない。
次の自民党総裁は誰になるのか。
自民党内では今まさに権謀術数が飛び交っているのだろう。表に出てくる情報が真実とは限らない。情勢の変化を見極めようと実力者たちはまだ態度を明確にしていない。
そんな中で、いち早く出馬表明した岸田氏は果たして吉と出るか凶と出るか。菅首相が相手なら勝てたかもしれないが、その相手が退場し混戦状態となって一番困っているのではなかろうか。この人はどうも間が悪いという印象がある。
衆院選のことを考えたら世間に人気のある河野氏になるのではなかろうか。あるいは石破氏がダークホースになるか。
いずれにせよ、新しい政権のもと拡張的な財政政策がとられる可能性が高い。そしてそれはさらなる債務膨張とセットになる。財政リスクが顕在化していないことをいいことに政府債務はどんどん膨らんでいるが、それが将来にどんな状況をもたらすかは誰にもわからない。
財政という風船はいつまでも膨らみ続けることができるのだろうか。
風船が思ったよりも大きく、風船のゴムの質が良くてすごく伸び縮みしているからまだまだ大丈夫と思っている人もいる。
多くの人はそんな風船のことなど気にしていない。コロナ禍もあって風船にどんどん空気を送り込むことを支持するだろう。
だが「過ぎたるは猶及ばざるが如し」というように、物事には限度ってものがある。昔からの智恵を侮ってはいけない。
あるいは突然にブラック・スワンが風船を刺すかもしれない。
おそらく風船が破裂するかどうかを当てることは重要でない。
風船がいつ破裂してもびっくりしないように耳をふさぐ準備をしておくことが重要なのだろう。