これまでほとんど日本株に投資してきた。だからといって海外株に無関心なわけではない。米国株の力強い上昇を見て米国企業の強さを感じてもいる。子供用の証券口座では全世界の株式に連動するETFに投資している。
だが、個別の中国企業に投資しようとは思わない。たとえ成長性が高いとしてもだ。
中国という国が中国共産党の支配下にある限り投資するつもりはない。
現在、米中対立が激しくなっているが、その背景には中国が米国に代わって覇権を握ろうとしていると米国が危機感を持っていることにある。また、中国も対外的には強硬な姿勢を示していて、香港や新疆ウイグル自治区へ外国が介入することを極端に非難している。
確かに、中国は経済力がつき影響力が大きくなって諸外国が警戒するようになった。だが、今後何か問題が起きるとすれば中国内部からではないかと考えている。すなわち中国共産党による一党独裁体制が揺らぐことだ。
中国共産党の指導者たちは中国共産党による支配が崩れることを一番恐れている。香港の自治に介入し批判勢力を一掃しようとしたのも、最近になって有力な中国企業に対し規制し始めたのも、中国共産党支配に影響が及ぶのを恐れているからだ。いや、実際にはもうかなり影響が及んで支配が揺らぎ始めているのかもしれず、だからこそ習近平は自分に権力を集中させようと躍起になっているのかもしれない。
結局、現状のままでは中国企業は中国共産党に影響を及ぼさない範囲でしか成長できない。そして中国企業の情報公開が信頼できるかどうかも疑問だ。さらに中国は法治国家とは思えない。憲法ですら中国共産党の意のままだし、香港に対する仕打ちを見ても中国共産党に都合がいいように法律を運用している。中国共産党という特権勢力が存在している限りこうしたことはなくならない。これが中国株に投資しようと思わない理由だ。
また、中国に深く関連する企業も難しい対応を迫られる。中国共産党に脅威と思われれば容赦なく規制してくる。最近、ソフトバンクグループやファーストリテイリングの株価が冴えないのも中国に関連していることが背景にある。そして日経平均株価へのインパクトも大きいから日経平均株価も冴えない動きになる。
中国市場は魅力的なのだろうが、今のところ深入りしすぎるのは危険だと考えている。だから中国に進出する企業に投資するのには慎重にならざるを得ない。
米中対立は今後も続くだろうが、もし米国が中国共産党という存在を狙い撃ちして揺さぶりをかけたら事態が大きく動くかもしれない。