「株を守りて兎を待つ」という故事がある。「守株待兎」という四字熟語もあり、以下のような話だ。
昔、宋の国にいた一人の農夫が畑を耕していると、一匹のウサギが飛び出してきて、畑の切り株にぶつかって死んだ。
農夫はこれに味をしめ、もう一度ウサギを手に入れようと農具を捨てて毎日株を見守っていた。
その後、もう二度とウサギを手に入れることはできず、農夫は宋の国の笑い者になったという。
このことから、「古い習慣にとらわれて時の変化に適応しないこと」を意味するようになった。また、偶然の幸運を当てにする愚かさを説いている。
株式投資をしていると、この農夫と同じようなことをしているのではないかと思うことがある。
たまたま投資した銘柄が急騰して儲かったりすると、それがたまたま幸運に恵まれたのにすぎないにもかかわらず、再度同じことを狙ってしまう。
特に長期投資では、保有する銘柄の株価が一向に上昇しないと、農具を捨てて切り株を見守る農夫になっているのではないかと感じることがある。
長期投資で待ち続けることは、必ずしも偶然の幸運を待っているわけではない。
だが、偶然をまったく期待していないわけでもない。
将来は不確実で、もしかしたら幸運が立て続けに起きることだってある。
株価の動きを自分でコントロールできない以上、ある程度偶然に身を任せるしかない。
かといって、すべてを運に任せてもいけない。
二度とウサギを手に入れることはなかった農夫は国中の笑い者になったが、私は笑うことができない。
いつでもこの農夫と同じようなことをしているかもしれないからだ。
偶然を必然と勘違いしないこと。
常に偶然が存在していることを忘れないことに尽きる。