株式投資をしていると、たくさん売買をしたくなってしまうものだ。だが長年投資をしてきて、頻繁に売買すればするほどうまくいかないというのを経験してきた。もちろん、そういうやり方で儲けている人がいることは確かだろう。でも本当にそれでうまくいく人というのは限られているのではなかろうか。多くの人が売買を試みながら、うまくいかずに資金を溶かし、そのうち消えていく。結局、取引回数が多くて儲かるのは証券会社だけだったりする。
本来、投資機会というのは思ったほどないものなのかもしれない。闇雲に取引すれば、一つ一つの取引の質は落ち無駄が多くなる。たまたまうまくいけば調子に乗ってしまって失敗し、うまくいかなければ取り戻そうとしてムキになり、泥沼にはまっていく。ジョージ・ソロスは「まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ。」と言ったが、思慮の浅い取引を頻繁に行っていれば生き残る可能性がどんどん減っていくのも当然だ。
逆に一つの取引について吟味に吟味を重ね厳選するようにすれば質が上がる。どっしり構えることで周りがよく見えるようになり、冷静に判断できるようになる。
バフェットは、「投資においてはストライクを3球見逃しても三振にはならない」と言った。自分がホームランを打てる可能性が高い絶好球が来るまでじっくり待つべきなのだ。
韓非子に「虚なれば則ち実の情を知り、静なれば則ち動の正を知る。」という言葉がある。
「心が虚であればその実情がわかり、心が静であればその動きを正しく知ることができる」のだ。
目まぐるしく動く相場に対して、自分も目まぐるしく動いていたら見えるものも見えなくなる。心を虚しく虚心坦懐でいることが、投資のパフォーマンスを上げることにつながると思う。