2021年3月期の決算発表はこれからだが、それはほぼ見通しがついている。そして決算発表と同時に多くの企業では2022年3月期の業績予想も発表され、そちらのほうがむしろ注目される。
ところで、3月決算の企業における今の時期の予想PERというのは2021年3月期の予想利益を用いて算出されている。だがすでに3月は過ぎており、2021年3月期の予想利益はほぼ見通しがついている。だから今の時期では予想PERというよりほぼ実績PERに近い。
ここでもし、2022年3月期の予想利益が前年よりも増加すると予想されれば、予想PERは現在よりも低くなることになる。増益幅が大きければそれだけPERのズレも大きくなる。ということは、表面的にはPERが高いように見えて、実はそうでもないということは十分にありうることになる。無論、逆のパターンもあるだろう。
予想PERという数字をそのまま表面的に捉えることは危険だ。自分なりに予想利益を出してみて現在の株価から予想PERを算出してみることは、やってみる価値があると思う。予想が難しければ、会社四季報などの予想利益を使用してもいい。
決算発表が本格化するまでに自分で予想利益を考え、企業が決算発表時に公表した業績予想と照らし合わせるのも面白い。
情報は、それをどう解釈するかによって別の価値をもつ情報となりうるものだ。