投資では「損失を小さく抑え利益を大きく伸ばせ」と言われる。確かに理屈ではそうなのだろう。だが、現実にはどうなのだろう。投資を経験すると、「損小利大」と言うのは簡単だが実際には難しいと実感する。
ある株式を買った後、起きることは株価が上昇するか下落するかのどちらかだ。
もし、買って間もなく株価が10%下落したとしたらどうするか。ある人は損切りするだろうし、ある人はそのまま持ち続けるだろう。その後さらに株価が10%下落したとしたら損切りした人は賢明で、持ち続けた人は失敗したと”その時は”思うかもしれない。だがその後に今度は株価が急騰したということはしょっちゅうあることだ。損切りしてしまった人は利益を得る機会を逸し、持ち続けた人は含み益を抱える状態となる。こうなったら果たして損切りした行為は良かったのだろうか。
含み益がもっと大きくなると期待していたものの、その後再び株価が下落して含み益が一気に消失し含み損に転落してしまったらどうするか。「利大」をしようとして裏目に出てしまったこともしょっちゅう起きることだ。このとき売らなかったことを後悔すべきなのだろうか。
結局、損失を怖がって損切りを繰り返す損切り貧乏になるか、含み損を損切りせずに我慢できても含み益を失うことを恐れてすぐに売ってしまうようになる。すると手許にあるのは含み損を抱えた銘柄ばかりという状態になりやすい。
こうしたことを避けるために四苦八苦する。誰だって損を小さくし利を大きくしたいのだ。「損小利大」は理想であって、その理想を実現するのが難しいから苦労しているのだ。
その理想を求めてどうするか。
私は企業そのものに着目する。その業績推移を追いかけて、自分が本当に納得できるものに投資する。そして株を買った後は株価が半値になることも覚悟しておく。いくら業績が良くても状況によっては暴落することもありうるからだ。だけど業績の裏付けがあれば、自ずと株価は回復するものだ。だから常に長期的な目線を持ち、じっくり待つことだ。
大きな利益を得るには大きな損失を抱える覚悟がいると思っている。だからこそ銘柄の選別にあたっては厳選に厳選を重ねるのだ。大きな含み損を抱えても、自分が納得して買ったのであれば待ち続けられる。納得の程度が低ければ目先の株価に迷い、感情的な判断に陥る。
銘柄選別が難しいと思うならインデックス投資をすればいい。いずれにしろ長期的視点を持つことだ。
多くの人は株のトレード技術を高めようとする。だが短期的な株価変動に惑わされれば惑わされるほど「損小利大」の理想から遠ざかる気がしてならない。