投資狂日記

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資本主義における「資本」の変化

昨夜、NHK-BS1で「欲望の資本主義2021」というドキュメンタリー番組の再放送を観た。この番組は毎年年明けに放送されるシリーズなのだが、今年は見過ごしてしまい、再放送を待っていた。

 

この番組を観るたびに資本主義というものを考えさせられる。

資本主義における「資本」とはそもそもなんなのか。

改めて問われると、明快に答えるのは案外難しい。

 

資本というのは簡潔に言えば「価値を生む元手、手段となるもの」だろうか。

資本主義社会においてはこの「資本」を有していることがなにより重要となるが、学校ではそんなことは教えられていない。

 

従来は機械などの物的資本が中心で、これに金融資本と人的資本が組み合わさって富が生まれていた。だが現在ではソフトウェアやブランドなどの無形資本が増大している。この無形資本はそれ自体だけで富を生み、人的資本をあまり必要としない。ソフトウェアはワンクリックで複製可能だし、ブランドは消費者の支持によって勝手に価値が増大していく。労働がほとんど必要とされないのだから労働者へ富が流れることはなく、無形資本を有する者に富が集まることになる。この無形資本と金融資本が結び付くことで経済格差が拡大する。コロナ禍で経済状況は悪化している一方で、株式市場の株価は上昇し、その株価上昇を牽引するのはGAFAをはじめとする無形資本を有する企業だ。そうした企業の株式を保有している者は富を得ることができ、保有していない者との格差は広がっていく。

 

こうした状況が続くかといえば必ずしもそうとはいえない。

かつて第一次世界大戦での敗戦国であるドイツが過剰な賠償金を課せられドイツ国民が過酷な状況に追い込まれたことが後にファシズムを生む土壌となった。今日ではアメリカの議会に暴徒が乱入する事件が起きたが、これも格差が拡大し現状に不満を持つ者がそれだけ多くいるということだ。

こうした状況は是正される方向に向かうに違いない。

 

資本主義における「資本」というものも変化していく。それによって資本主義も変化していくだろうが、「資本」を有することが重要なのは変わらないだろう。