新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になって株式市場が暴落したとき、最強の投資家であるバフェットが動き出すと思っていた。
そのバフェットはたしかに動いたが、保有する航空株を売却するというものだった。リーマン・ショックのときは、誰もが動けない中で猛然と買いに動いたことで危機に歯止めをかけ、人々に落ち着きをもたらした。だが、今回の新型コロナウイルスは様子が違うと考えたのだろうか。
航空業界は運行を止められ、それが長く続くとなれば存続の危機にさらされる。さらに燃料を大量に消費し、環境への負荷という面から敬遠される世界的な動向も航空業界を見放すきっかけになったのかもしれない。
また、バフェットはエネルギー関連企業にも投資しているが、この業界も原油安に直面して厳しい局面にある。
最近のバフェットの動きは、事前のシナリオが崩れたことによる修正ともいえる。間違いを認め、すぐさま修正する行動をとる。今回はまだ積極的な攻めの姿勢は見せていないが、見通しの間違いを正すための素早い行動という守りの姿勢をとった。
今後、莫大な資金の使い道について関心が向けられるだろう。幸い、米国の将来には楽観的な姿勢を保持している。そんななかバフェットは何を見つめているのか、とても興味がある。